ポンジ・スキームを連想させる毎月分配型投資信託(その2)

その1では、ポンジ・スキームのカラクリを考えてみたわけなのですが、このカラクリとそっくりだと思わせるのが、毎月分配型投資信託です。
(ポンジ・スキームを連想させる毎月分配型投資信託(その1))
高い分配金が勘違いを引き起こす
ポンジ・スキームの肝は収益などないのに配当をすることで、出資者に儲かっていると勘違いさせることです。
この点、毎月分配型投資信託も投資した債券やリートなどから得られた配当や売却益以上の分配金を出すケースが多かったことから、多くの投資家は投資信託の運用は順調であると勘違いをしました。
そしてどんどんと投資資金を増やしていったのです。その実、投資したお金が自分のところにそのまま還流しているだけなのにです。
運用環境の悪化と延命策
金利がどんどんと低下していき、分配金を出すべきではないにもかかわらず、運用会社はファンドの命を長らえるために、ポンジ・スキーム同様の延命策を取ります。
それは以下の2つの作戦に集約されるでしょう。
1.無理な分配でも出し続けることで、新たな投資資金を呼び込み、ファンドを延命させる
2.なるべく高い分配を続け、投資家に解約しようという動機を与えない
2.なるべく高い分配を続け、投資家に解約しようという動機を与えない
これらの作戦を実行することで、超低金利からの金利上昇を待つという戦略であったろうと思います。
しかし、思うに任せず金利は世界的に低空飛行を続け、ついに高い分配金を払い続ける余力は無くなりました。
投資信託の分配可能額は変更すべき
もちろん、毎月分配型の投資信託は各種の法令に基づいて募集された合法的な仕組みです。しかし合法的とはいえ、そのやり口はポンジ・スキームを熟知していたと思わざるを得ません。
多くの投資家は半ば騙されたようなものです。
投資信託の分配可能額は法改正により縛るべきものと考えます。
具体的には、分配可能額は当期に得られた配当金と売却益の金額内に収めるべきだと思います。
もちろん、分配せずに内部留保していた積立金からは分配してもいいでしょう。過去に分配しても大丈夫だった資金を貯めていただけなのですから。
感想
それにしても合法的な投資スキームである投資信託にもポンジ・スキームを連想させる分配が可能であることに驚きを禁じえません。
この点で、トータル・リターンという概念を取り入れた金融当局の考え方は正しいものでした。
しかし、なお根本的な解決には至らないのであります。
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