失業率上昇も自殺者は減少。人間は理論どおりには動かない

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新型コロナウイルスの影響によるアメリカの失業者の急増にはびっくりしましたが、じわりと日本も失業率が上昇してきました。

2020年4月の失業率は2.6%でしたが、2020年5月は2.9%に上昇してきました。アメリカほどひどくないのは、日本は被害が少なくて済んでいるという面もありますが、今後について楽観はできません。



日米の失業率推移


以下はここ1年の日米の失業率の推移を示しています。

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(出所:社会実情データ図録)

それにしてもアメリカの急上昇ぶりにはびっくりしたものです。わずか1か月で2200万人もの人が失業してしまいました。

日本企業は内部留保が厚すぎるなどと批判されることが多かったわけですが、このような有事の際には財務基盤がしっかりしている分、持久力があるという良い面もあるわけです。

利益をすべて株主に還元してしまったら、危機に陥った際に社員の雇用を守ることもできません。

物事には必ず二面性があると改めて感じざるを得ませんでした。

また社員の雇用を守るという経営者の責任感もアメリカと日本ではぜんぜん違うのだと感じます。アメリカの経営者は社員を労働力という歯車としか見ていないということがよくわかります。

失業率アップで自殺は増えたか


失業と自殺には正の相関があると考えるのが普通でしょう。極度のデフレが続いた日本では自殺者が毎年、それまでよりも1万人は増えたと考えられます。詳細は以下をご覧ください。

(関連記事)
GDPデフレーターと自殺者数に相関はあるか?

直近、2020年5月の自殺者数が警察庁のサイトで確認できます。

それによれば、5月の自殺者は1501名。昨年2019年5月の自殺者数は1853名ですから明らかに減少しています。

それにしても、新型コロナで死亡した人は累計で1000人に満たないのにこの大騒ぎ。一方で毎月その1.5倍もの人が静かに自殺しているのにほとんど注目されず・・・。マスメディアがバランスを欠いた偏向報道をしていることは明らかです。

以下は自殺者の推移を表したグラフです。

20200701jisatu.jpg
(出所:厚生労働省(一部加筆))

なぜ自殺は減っているのか?


コロナ禍との関連は不明ですが、明らかに2020年の自殺者は減っているのです。消費増税、新型コロナ騒動のダブルショックで景気は最悪、失業率が上昇しつつあるのにです。

これはいったいどう考えればよいのでしょうか?

経済活動を止めてしまうと自殺が増えるという主張が多くなされておりましたが、結果はまるで逆になっています。多くの評論家はオオカミ少年のようになってしまいました。

もちろん自殺が減っていることは良いことなので、予想が外れたことは誠に結構なことです。

思うに、人は気分が高揚しているときは自殺をしないのではないかと推測します。緊急事態宣言下、人々はまるで戦時下に置かれたかのようでした。それは一種異様な興奮をもたらすものでもあります。

また、コロナ騒動は恐怖とはいえ、いつまでも続くものでもありません。ワクチンが開発され、有効な治療薬ができればそれほど恐ろしいものでもありません。

人々はその辺を本能的に察知し、経済のV字回復を期待して自殺が減少している面もあると考えます。

まとめ


今のところ、新型コロナウイルスによる被害そして生活様式の変化により人々はかえって刺激を受け、自殺などしていられないという心理が働いていると考えます。

しかし、この状態がマンネリ化すれば再び自殺は増えてくると思います。そして、その時に景気が悪ければ増加率も大きくなると考えられます。

それにしても人間の集団心理というのはまったく読めません。予想とはまるで裏腹の行動が起きるということがあることをまざまざと感じます。

いくら、コンピュータが発達しても人間の集団心理までは読み取ることはできないでしょう。個々人の感情の起伏などはわかるでしょうが、化学反応的な集団心理の思考回路が読み取れるわけがありません。

この考えを敷衍すれば、AIに株価予想などできるわけがないと確信するのです。

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