銀行、どん詰まりでいよいよ一般事業会社経営へ

迷路



マイナス金利、顧客本位の業務運営の徹底と今までのビジネスモデルがめちゃくちゃに壊れている銀行業界が、社会の変化に合わせ、いよいよ一般事業会社の経営にまで事業領域を広げようとしています。

銀行はもはや単なる金融機関ではなくなりつつあり、金融総合商社への道を辿っています。ただし、勝者になれるかどうかは定かではありません。



事業承継問題を解決するために銀行が助け舟


少子高齢化による事業承継問題は中小零細企業にとって頭を悩ませる大きな課題です。

M&Aが解決策の一つとなりますが、そこまでたどりつけない企業が多いのが実態です。そこに目をつけたのが銀行です。

中小企業の廃業を防ぐため、銀行が受け皿ファンドを組成し、ファンドがその会社に出資します。

出資のみならず、銀行で経験を積んだベテラン行員を経営陣として派遣し、経営の立て直しにも尽力するというのです。

銀行が事業会社へ出資する背景


上記のようなビジネスが可能となったのは2019年秋に金融庁が規制を緩和したからです。

銀行による事業会社への出資は原則として5%までとなっていますが、事業承継を目的とする場合には、5年間という時間的制約はあるものの、出資制限を外したのです。

銀行はファンドを通じて、5年間のうちに経営基盤を確立し、会社を売却して利益を得るのが目的です。

廃業を阻止したい経営者と、新規の収益基盤を模索している銀行との利害が一致するという目算なのです。

銀行員に事業経営など可能か?という課題


最大の課題は派遣する銀行員にそもそも経営能力などあるか?という根本的な問題です。

日本の銀行は担保主義で、リスクを取らない経営を続けてきました。担保があれば貸す。なければ貸さない。

保証協会なりの保証がつけば貸す、つかねば貸さないというリスク回避型で、思考停止状態であった銀行員に経営能力があるとはとても思えません。

経営能力がなければ企業の立て直しや経営基盤を強化することなど不可能です。新たな事業モデルが成功するかは極めて危ういといわざるを得ません。

感想


銀行の危機感は大変なものなのでしょう。新たなビジネスモデルを探して彷徨う、飢えた巨人のようです。

そして一般論で言って銀行員は頭が堅い。真面目だけが取り柄といった印象で、大きなリスクを取ってビジネスを展開できる能力があるとは思えません。

しかしながら、取り組み自体は非常にすばらしいものですから、なんとか思考回路を劇的に変化して成功に導いてもらいたいものです。

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