都心のオフィス空室率が10年ぶりの上昇幅でアップ

会議室



新型コロナ騒動が企業のオフィス戦略に与える影響がいよいよ大きく顕在化してきました。そして、それは不可逆的な変化で今後のJリート市場を大きく左右しそうなのです。



都心の空室率がアップ


オフィス仲介会社が2020年7月9日に発表したデータによると、東京都心のオフィスの空室率が前月比で0.33%上昇し、1.97%となりました。

上昇幅は2010年以来、10年ぶりの高水準となってしまいました。

これはもちろん新型コロナ騒動によるものです。

オフィスの在り方が変わった


テレワークが浸透していく中、オフィスの面積を狭める動きが広がっています。また、リスク分散という観点から拠点を分散する動きも見られます。

3密対策という観点からは社員一人当たりの面積は広くするとしても、そもそも出社する社員が減るのですから、トータルでは面積は狭くてもかまわないということになります。

企業側としても、高い都心の一等地に広いオフィスを構えているとコストが膨大にかかるため、郊外の安いオフィスへの移転やテレワークの進展は渡りに船といったところです。

Jリートの値動きへの影響


実際のところJリートの値動きに影響は出ているのでしょうか?

オフィス型Jリートでもっとも時価総額が大きい日本ビルファンド投資法人(8951)と東証リート指数の値動きを比べてみました。

●日本ビルファンド投資法人(8951)

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●東証リート指数

20200712reit.png

明らかにオフィス型の戻りは鈍く、今後の需給悪化を予見しているかのようです。

この動きは不可逆的なものであるため、オフィス型Jリートの今後については悲観的にならざるを得ないというのが率直な印象です。

個人的に問題になるのは今保有しているものをどうするか・・・。ホテル型ほどひどくはないというものの先行きが心配です。

とりあえず、追加投資は避けて様子を見るくらいでしょうか。なにしろNISA枠で持ってるのが弱みです。一度売ったら非課税のメリットがなくなってしまいますから。

特定口座ならばあっさり銘柄入れ替えるところなのですが・・・。

コミュニケーション不足の影響が心配


テレワークの推進、オフィスの分散化はJリートにだけ影響を与えるとは思えません。広く他の企業にも影響を与えることになるはずです。それはコスト削減という良い面ばかりではありません。当然負の側面もあります。

テレワークの推進、オフィス分散化は、社員同士のコミュニケーションが取りづらくなることから、以下のようなデメリットを生むと推測します。

・業務に遅れが出る
・コミュニケーション不足により誤解が発生しやすくなる
・コミュニケーションによる化学反応による技術革新が起きにくくなる
・会社の方針が浸透しにくくなり個々人がバラバラに行動する
・労働時間の管理が難しくサービス残業が増える

長い目でみると労働生産性向上がストップする可能性が高いと見ます。世界的な流れなので、日本だけが弱体化するわけではないというのは救いではあります。

まとめ


新型コロナウイルスはJリート市場をも一変させることとなりました。そして、それは一過性のものではなさそうな気配です。

過去の成功体験から同じ論理で投資をすると失敗に終わる可能性が高まっています。世の中の動きを見ながら投資戦略も機敏に変えていかねばと自戒するところであります。

投資は自己責任で!

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