プライマリーバランス黒字化は貧富の差を拡大する愚策

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日本の「財政破綻論の嘘」が次第次第に明らかにされ、人々の間に広がりつつあります。これはデフレ脱却に向けては非常に明るい兆しです。

しかし、まだ主流の考えには至っていないのが実状です。国家財政や貨幣が何を意味するものかを、自分の財布、あるいは家計同様のレベルで考えている学者、評論家、政治家、官僚が数多く存在するからです。

そして、それら誤った考えもまたマスコミを通じて流布され、いまだ人々を洗脳し続けています。しかも、その洗脳から覚醒するのは容易ではありません。今は真実と嘘のせめぎ合いの真っ只中なのです。



貨幣の意味するものは・・・


貨幣はいったい何のために存在するのでしょうか。貨幣を多く発行するとその価値が下がり、少なくなれば価値が上がると考えている人が多いと思います。

そういった一面はもちろんありますが、それだけでは正しくありません。それは貨幣の量で経済をコントロールできるという傲慢な考え方であり、デフレを単なる貨幣現象などととらえる、いわゆるリフレ派的無能な考え方です。

貨幣はわかりやすく考えれば、何かを「頼む」ことができる権利を示した記号です。

重要なのは社会に頼まれたことを行う能力があるかどうか?これによって貨幣の価値が大きく左右されます。

コロナ禍のマスクを考えればわかりやすいでしょう。マスクは品薄になり、異常なまでに価格が高騰しました。

マスクが欲しいと「頼ん」でも、無いから値が暴騰したのです。マスクの値段を下げようと貨幣の発行量を減らしても無意味です。そもそもマスクが無いのですから・・・。

貨幣は「頼み」「頼まれ」の記号であり、そして「頼まれ」た人は記号をもらい、他の頼み事を他の人に「頼む」ことができるというだけです。

繰り返しますが単なる記号なのです。

「骨太の方針2020」はどうなるのか?


政府の経済財政諮問会議が2020年7月8日、骨太の方針2020の原案を示しました。

その中から、今回、プライマリーバランス黒字化目標が消えました。なぜ消えたのか?

コロナ騒動で大規模財政出動をしたために一時的に凍結されたのか、それともそもそも意味がないことに気が付いたのか?

後者であることを願うばかりですが、実態としては前者の可能性が高いと思います。

内閣は示された原案をもとに今週中にも骨太の方針2020を決定する見通しです。その内容によって、今後の国民経済の動向が大き変わるため、注視が必要なのです。

デフレ下でプライマリーバランス黒字化を目指す愚


経済の主体は「家計」「企業」「政府」「海外」に大別されます。

デフレ下で企業が内部留保を貯め込んで設備投資をしない中、プライマリーバランスを黒字化するということは何を意味するのか。

それを表したのが以下の図です。

20200712PB.jpg

海外収支は今後もある程度黒字を維持すると思います。すべてのプラスマイナスはゼロとなりますから、政府が黒字化するとその分、家計が赤字を負担せざるを得ません。

政府が黒字になるということは、政府が「頼まなく」なるということです。民間企業は政府の需要を取り込めなくなりますから、ますます設備投資を抑制し、内部留保に勤しむことになるでしょう。

バランスを保つには家計から税金(主に消費増税)という形で貨幣を吸い上げるほかありません。国民はますます人に「頼む」記号を失っていき、仕事が無くなって貧乏になっていきます。

ちなみに最近の推移は以下のとおりです。

20200712PB2.jpg
(出所:三橋貴明氏ブログ(新世紀のビッグブラザーへ))

政府の赤字と海外の国々の赤字(日本にとっては黒字)でなんとか家計部門は黒字を維持していますが、プライマリーバランスを黒字化をすれば、家計部門が赤字化していくはずです(国民の所得や貯蓄が吸い上げられる)。

プライマリーバランス黒字化で「勝ち組」「負け組」が鮮明化


家計部門が赤字化するといっても、すべての人が貯蓄をやめるわけがありません。

富める者(貯蓄ができる人)と貧しい者(貯蓄ができない人)がより鮮明に分かれ、後者のほうがより多くなるのは確実です。

日本は一部の富裕層とそれ以外の貧困層に社会は分断化され、今よりもさらに人間関係は冷え切ったものになるはずです。

まとめ


デフレから脱却してもいないのにプライマリーバランス黒字化を叫ぶのは愚の骨頂であるのは明らかなのです。

それに加えて、コロナ禍という新たな、そして強力な試練が加わりました。デフレとコロナ恐慌により企業が倒産、あるいは廃業すれば、マスク同様に「頼ん」でもモノが作れない、あるいはないという供給能力がない事態になります。いわゆるスタグフレーションです。

貨幣は単なる記号であって、自国通貨建ての記号で国内に十分なサービス供給能力があれば財政破綻など起こる可能性はゼロです。

なのに財政破綻を煽る学者や評論家、マスコミには大いに責任がありますし、それに踊らされる国民もまたそれ以上に責任があるといわざるを得ません。

なぜなら言論の自由がある程度保証されている日本ならば上記のような事実は少し勉強すれば容易にたどり着ける結論だからです。日本はお隣のように情報統制された独裁国家ではないのですから・・・。

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