コロナの影響でJリート市場に下剋上が・・・

倉庫



テレワークの進展によりオフィス不要論が台頭しています。オフィス不要は極論だとしても今後のオフィスの在り方を考えれば、需要が減少するのはほぼ間違いないと思います。

またその影響はすでに顕在化しつつあります。



三菱UFJモルガン・スタンレー証券の悲観的予想


三菱UFJモルガン・スタンレー証券は東京都心部のオフィス空室率が現状の1%程度から今後5年間で10%に近づくと大胆で悲観的な予想をしています。

これはリーマンショック後のオフィス空室率に匹敵する水準です。

Jリート市場で下剋上が発生


象徴的な出来事が2020年7月10日のJリート市場で起こりました。

2001年にJリート市場が設立されてから、時価総額のトップを一度も明け渡したことがない日本ビルファンド投資法人(8951)が、2013年に上場した日本プロロジスリート投資法人(3283)に一時、時価総額トップの座を明け渡したのです。

日本ビルファンド投資法人はオフィス型のJリートで三井不動産をスポンサーとする名門中の名門なのです。

それが、世界的に展開をしているとはいえ、上場後7年の、しかも今までだとあまり存在感のなかった物流型リートに抜かれるとは・・・。しばらく前までなら考えられなかったことです。

両銘柄の動向


以下はここ最近の両銘柄の値動きです。

●日本ビルファンド投資法人(8951)

202007158951.jpg

●日本プロロジスリート投資法人(3283)
202007153283.jpg

まるで社会の変化を先どったかのごとき値動きの相違です。日本プロロジスリート投資法人はコロナ騒動下で過去最高値を更新してきているのです。

直近、7月15日現在の時価総額は以下のとおりです。下剋上は解消されていますが、再逆転の可能性は十分です。

・日本ビルファンド投資法人(8951): 8,443億円

・日本プロロジスリート投資法人(3283): 8,223億円

なお、NAV倍率(※)は以下のとおりです。

・日本ビルファンド投資法人(8951): 1.06倍

・日本プロロジスリート投資法人(3283): 1.49倍

日本プロロジスリート投資法人のNAV倍率はかなり高い。プチバブルなのか、将来の成長を先取りしているのかは未来にならないとわかりません。

(※)NAV倍率
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といい、さらに、投資口価格を投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率という。株式投資におけるPBRの概念に近い。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができる。


物流型リート好調の特殊要因


コロナ騒動に関係なく、物流型リートには2つの追い風が吹いています。

一つは、電子商取引市場が確実に成長していることです。典型的なのが「本」でしょう。アマゾンの台頭で街の本屋は次々とつぶれてしまいました。

本はもはや本屋を経由することなく、物流倉庫から直接消費者のもとに届くのが当たり前になりました。

もう一つは、2020年7月20日に東証が物流施設型リートの指数算出を始めることです。指数算出により、新たな投資信託の組成による資金流入も期待されています。

まとめ


それにしても三菱UFJモルガン・スタンレー証券の予想はすさまじい。

2010年から2012年頃にかけての水準と同じくらいです。これが当たればJリートはかなりの打撃を受けることになるでしょう。

その当時の東証リート指数は以下のようになっています。(赤丸部分)

20200715reit.jpg

そう考えれば東証リート指数が1,000ポイントくらいに下落してもおかしくありません。

予想が外れることを祈るばかりです。

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