家計の貯蓄率が大幅上昇。消費は低迷の一途をたどる

コロナ禍で世界的に家計に占める貯蓄率が大幅に上昇しています。失業の不安におびえ、生活防衛に走るのは世の東西を問いません。
貯蓄率が上がれば当然消費が冷え込むので景気は当然に悪くなります。
驚くべきアメリカの貯蓄率
アメリカは2020年4月、過去最高となる32%もの貯蓄率を記録しました。5月は下がったとはいえ23%と平常時の約3倍程度で非常に高い貯蓄率を維持しています。
通常ですと8%程度で推移しているのが最近の傾向でした。以下は主要国の家計に占める貯蓄の割合です。

(出所:社会実情データ図録)
日本の貯蓄率が・・・
それにしても日本の貯蓄率の低下が著しい。消費増税、財政構造改革法の成立とデフレ政策に舵を切った1997年以降、ほぼ一貫して右肩下がり・・・。
2014年にはなんとマイナスになってしまいました。5%から8%へと消費増税した年ですから明らかにその影響だろうと思います。日本人は貯蓄好きなどと言われていましたが、今や昔の話です。
いや、今も貯蓄はたぶん好きだと思います。日本人のメンタリティから考えれば。しかし、貯蓄したくてもできないところまで追い込まれているというのが現状です。
これは1997年以降の歴代政権が取ってきたデフレ促進策によるものであり、失われた20年です。このままでは30年になることはほぼ確実です。
ドイツ、日本の状況と今後
ドイツは2020年1月~3月にかけて貯蓄率が約12%となりました。17年ぶりの高水準です。
アメリカほど極端な上昇ではありませんが、データが少し古いせいだと思われます。4月からはさらに急上昇しているはずです。
日本は直近で公表されているのが2019年10月~12月で、6.6%となっています。民間シンクタンクの予想では、2020年1月~3月で8.1%、4~6月で8.9%などと予想されており、約20年ぶりの高水準となりそうです。
別のエコノミストは4~6月で18%まで急上昇するという見方もあり、かなり予想はぶれています。 経済の不確実性が高まっている証左だろうと思います。
貯蓄で身構える人々
貯蓄する理由はみなほぼ同じでしょう。一つは失業への不安です。
もう一つは将来の増税を見越して守りに入っていることです。リカーディアン均衡です。
このままでは経済は縮小均衡路線をひた走る可能性が高い。政府が配った10万円も半分近くが貯蓄に回るという報道もあります。
家計や企業が委縮しているのですから、将来、ひどいインフレにならない限りは増税しないことを約束し、国が積極的に財政支出をしていくほかありません。
政府は的確な経済運営を!!
まさに今、現代貨幣理論(MMT)に基づく経済運営が求められています。
アベノミクスの財政政策はこの7年、実質的に実行されなかったわけですから、いまこそ最後のラストスパートをかけてもらいたい。
それに加えて消費減税も欠かせません。ドイツは3%、イギリスにいたっては15%の減税です(そもそも取りすぎだろ!?)。
それにつけても、コロナ前の消費増税はタイミングが悪すぎた。やはりやるべきではなかったのが明白となってしまいました。
さらに頭にくるのはレジ袋の有料化です。これはコロナ騒動後に始まったわけですから、中止することだってできたはず。でもやらない・・・。
安倍政権のリーダーシップ欠如と実行力の無さにはほとほと疲れました。
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