ギグワーカ―増加で賃金デフレが加速する・・・

オフィス



新型コロナ騒動下、日本の失業率は2020年5月、2.9%とじわりと上がってきています。とはいえ、アメリカのように極端な上昇にはなっていません。

しかし、実際のところは隠れ失業ともいえる休業者が4月には過去最高水準の約600万人にまで膨れ上がりました。

外食産業、宿泊企業、アパレル企業、航空会社などはほぼ全滅状態といった状況です。



刹那主義のギグワーカー増加中


コロナ禍で増えているのがギグワーカ―などと呼ばれる労働者です。ネットを通じて単発の仕事を請け負う労働者です。

ウーバーイーツなどという出前業者が日本でも増えてきました。しかし、3時間働いて2,000円ちょっととか聞きますし、なにやら割りに合わなそうな仕事です。

また、単発で仕事を発注したい企業と、仕事が欲しい個人とをネットを使って仲介するクラウドソーシングも活発になっています。

クラウドソーシング大手、クラウドワークス(3900)など主要企業への登録者数が急激に増えています。

その数、のべ700万人!重複して登録している人が多いと思いますが日本の労働人口の1割にあたるという驚異の数字です。

以下はクラウドワークスの株価推移です。

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緊急事態宣言発令後、株価は大きく上昇しています。

クラウドワーカーの分け前も減っていく


クラウドソーシングを通じて働く人はクラウドワーカーなどと呼ばれます。クラウドワーカーの主な業務はソフト開発やデータ入力、文章作成などです。

発注する企業としては、人を抱え込む必要がなく、専門的技術を持つ人に外注することでコストを抑えることができますし、クラウドワーカーは空き時間を活用して、保有するスキルを生かすことができるというわけです。

しかし、クラウドワーカーの数が増えれば競争が激しくなり労働単価が下がるのは必然のこと。

専門性が高い分野はまだしも、誰でもできるような仕事はどんどん単価が安くなります。

単に、ゴーストライターとして記事を書くような仕事ですと、1文字1円程度のようなケースが多いようで、原稿用紙10枚書いて4千円程度の報酬となるようです。

高いと思うか安いと思うかは人によって捉え方が違うでしょうし、収入ゼロよりはましであることは確かです。

文章を書くことが好きな人にとっては悪くないのではないでしょうか。

クラウドソーシング仲介会社の収益


クラウドワーカーが手にする報酬の20%程度が仕事を仲介した会社に手数料として払われることになります。

クラウドソーソングは日本ではまだ緒についたばかりですので、今後、多くの会社が参入してくると予想されます。そうなればさらに競争が激化し、労働単価も仲介手数料も下がっていくものと推測します。

それにしても日本の労働者は副業しないと生活できないほどに賃金が下がり続けています。これはコロナの影響ではありません。

コロナがとどめを刺したといっていいでしょう。

以下は日本の実質賃金の推移です。

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(出所:「新世紀のビッグブラザーへ」(三橋貴明氏ブログ))

消費増税と公共事業の減少がその原因になっているのはもはや明らかです。見事なまでの逆相関関係です。

●消費税収(1989年導入、1997年:3→5%、2014年:5→8%、2019年:8→10%)
20200728syouhizeisyuu.jpg
(出所:「新世紀のビッグブラザーへ」(三橋貴明氏ブログ))

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(出所:社会実情データ図録)

解決策は単純。消費減税と公共事業の増加です。ねじを逆に回せばよいだけの話。

安倍政権のブレーンを務め良識的かつ知性あふれる元財務官僚、本田悦朗さんが国会内で消費税は少なくとも5%に下げなければいけないと述べました。

また期限を区切れば効果が下がるため、経済が正常化するまでは続けるべきだと述べています。勇気と責任ある発言、まさに正論です。世界的にも既に19か国が消費減税を決めているとか。

しかし、日本は政治にリーダーシップがないためできません。菅官房長官は記者会見で消費減税に否定的な見方を示しました。だめだこりゃ・・・。

放置すれば日本は年収200万社会へ・・・


一昔前に経済評論家の森永卓郎氏が年収300万時代がくるといった本を出していましたが、最近の主張ではさらに下がって200万円です。

イギリス出身で日本在住の経営者、デビット・アトキンソン氏の指摘はさらに辛辣です。日本がいまだ経済大国であるのは、単に人口が多いだけだからというのです。

そして、人口が減っていくのですから必然的に経済小国にならざるを得ません。そんな事態を避けるには政府主導の大規模財政支出によるデフレ脱却を早期に実現する必要があります。

日本に残された時間はあとわずかです。財政破綻論者の悲観論ときれいごとに騙されていると日本が発展途上国へと衰退していくのは間違いありません。

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